震災からの復興。熊本市民に愛される動物園が待ち望むそのとき
- 動物輸送
- 復興支援
震災からの復興。熊本市民に愛される動物園が待ち望むそのとき
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平穏な暮らしを取り戻すため、力を発揮する航空物流
2016年4月14日、熊本県を中心に震度7の地震が襲った。土砂崩れや液状化現象、住居の倒壊、阿蘇大橋の崩落や熊本城天守閣石垣の一部崩落など、広域にわたって痛ましいほどの被害があった。その後も激しい揺れを伴う余震は続き、今もなお復興途上にある場所は少なくない。
ANA Cargoでは被災当初から、全国各地から寄せられる支援物資の輸送を担ってきた。熊本空港が位置するのは、震源地からほど近い熊本県益城町。一刻を争う時にこそ、力を発揮するのが航空輸送。熊本空港復旧後は機能的かつ継続的な物資輸送を行っている。
ANA Cargoをはじめ、ANAグループは一丸となって熊本地震からの復興を願い、それぞれの領域で支援活動を行ってきた。義援金の寄付や災害支援者の無償渡航の提供、救援物資の輸送協力など、関係団体との連携によって支援の想いを形にしてきた。
震災から1年半。復興は今もなお続いている。少しずつではあるものの、「人」や「物」を運ぶフェーズから、徐々に「気持ち」を運ぶフェーズへと移ってきた。
その象徴の一つが、熊本市にある熊本市動植物園だ。日本で唯一キンシコウ(ゴールデンモンキー)が飼育されており、地元民のみならず九州一円からも観光客が訪れる憩いの場だ。熊本市動植物園もまた、熊本地震による大きな被害を受けた場所の一つ。一時閉園されていたが、今年2月から土日祝日のみ部分開園を再開。2018年4月の全面開園を目指し、復旧作業を続けている。
全面開園に先駆け、2017年10月11日、熊本市動植物園へ2頭の動物が届けられた。埼玉県こども動物自然公園からカピバラとオグロプレーリードッグが無償譲渡されたのだ。
全面開園に向けて新しい家族を。埼玉から贈られた動物たち
熊本市動植物園は震源地周辺から約7キロメートルの熊本市東区に位置している。下水管が破裂し、園内は液状化現象によって隆起陥没。動物たちに直接的な被害は及ばなかったものの、ユキヒョウのゲージに隙間が生じるなど、全面閉鎖を余儀なくされた。現在はライオンやトラなどネコ科の動物は他の動物園に避難させ、土日祝日限定でゾウやキリン、ニホンジカなど一部の動物を公開するのみとなっている。
来年春の全面開園に向けて復旧作業が進み、震災直後はナーバスになっていた動物たちも、平穏な日々を取り戻しつつある。そんな中、熊本市動植物園へカピバラのオスとオグロプレーリードッグのメスが無償譲渡されることになった。
「秋はカピバラとオグロプレーリードッグの繁殖期にあたり、血統更新のために新しいお婿さん、花嫁さん候補を迎える必要があったのです」と話すのは、熊本市動植物園診療教育班の松本充史さんだ。
松本「日本動物園水族館協会に加盟する団体が共有しているデータベースを通し親交のあった埼玉県こども動物自然公園さんに打診したとろ、快諾していただけました」
埼玉県こども動物自然公園企画調整係の髙玉ともえさんは、カピバラとオグロプレーリードッグを熊本へ運ぶにあたり、航空輸送をANA Cargoに依頼した。
髙玉「震災の3カ月ほど前にちょうど協会の会議が熊本市で行われたので、その際に熊本市動植物園を訪れていたんです。湧き水が豊富で、カピバラも気持ちよさそうに泳いでいました。なんて素敵な動物園なんだろうと思っていた矢先の震災で、大変驚いて信じられない気持ちでいました。ちょうど当園に熊本市動植物園さんが探している年齢の個体がいたので、無償で譲渡することにしたのです。
動物たちになるべく負担をかけないよう、遠方の場合、基本的にはいつもANA Cargoにお願いしています。今回、震災支援ということで協力していただき、大変ありがたかったですね。10月11日の朝に2匹をお渡しして、その日の午後には『無事に届けられた』と連絡いただきました。これから熊本でも人気者になって、地元の方々が元気を取り戻すきっかけになってくれたらと思います」
カピバラとオグロプレーリードッグはそれぞれ、新しいパートナーや仲間たちと暮らせるよう、少しずつ新しい環境に順応しつつある。
松本「休園していたあいだ、改めて『市民にとって動物園とはどんな存在だろう』と考える機会が多くありました。部分公開に踏み切ったとき、『ありがとう』『待っていたよ』とたくさんの方からお声がけいただきました。
動物たちと触れ合う子どもたちの笑顔を見て、全面開園へ向けて、できることからまた一歩ずつがんばろうと思えたのです。カピバラもプレーリーも晴れて新しい家族を作っていけるよう、リラックスして暮らせるような環境を整えていきたいです」
どんなニーズにも応える柔軟な対応力とそれを支えるインフラとノウハウ
熊本地震でも顕在化したように、私たちの生活はいついかなるときも、自然災害をはじめとする不測の事態に襲われるとも限らない。ANA Cargoは中型機のフレイターならではの機動力とANAグループの旅客機ネットワークを最大限に活用し、顧客ニーズに細やかに対応。緊急時においても迅速かつ安定的な航空輸送を行っている。
例えば、2017年9月20日にメキシコ中心部を襲ったマグニチュード7.1の大地震では数十もの建物が倒壊し、200名以上の命が犠牲となった。JICA(国際協力機構)はメキシコ政府の要請を受け、22日から3日間救助活動を実施。発電機やエンジンカッター、照明機材など救助活動に用いる資機材の航空輸送を担ったのもANA Cargoだった。
また、在庫を寝かせる期間の極小化や、工場や倉庫の稼働率を最大化するために、航空輸送が選ばれる場面も増えている。小売事業者にとっては、変化に富む顧客ニーズにいかに迅速に対応するかどうかが、販売機会を左右する。全国一斉発売や、SNSなどによる予期せぬヒット商品の在庫調達など、売るべき時に売る体制づくりのためには、スピーディに対応できる航空輸送へ寄せられる期待は大きい。
ANA Cargoではこれまでお客様のご要望に合わせ、充実のネットワークと柔軟な対応力を活用し、エクスプレス輸送や温度管理輸送など、きめ細やかな提案を行ってきた。社内に蓄積されたノウハウと実績をもとに、緊急時であっても平常時と変わらない安定したサービスを提供することが、多くのお客様からの信頼に繋がっている。
航空輸送において、運ばれるのは貨物だけではなく、「一刻も早く助けたい」「今すぐにお客様に提供したい」など、それを託す人々の想い。私たちANA CARGOはその想いを実現するため、一つでも多く、少しでも早く、安全に、日々さまざまなものを届けている。
熊本震災にて亡くなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
松本充史(マツモトアツシ)
熊本市動植物園
診療教育班
1997年、熊本市役所入庁。2010年に熊本市動植物園に配属となる。獣医師として動物園動物の診療、繁殖計画の策定、動物の移動、教育普及活動などに携わる。スキューバーダイビング歴は20年。毎年九州・沖縄の海を潜っている。
髙玉ともえ(タカタマトモエ)
埼玉県こども動物自然公園
企画調整係
1997年、埼玉県こども動物自然公園入園。乳牛、鳥類、オオカンガルーなどの飼育に携わる。現在は企画調整係に所属し、動物搬出入事務や各種イベントの企画・調整を担当。伊藤みどりさんの頃からのフィギュアスケートファンで、平昌オリンピックが楽しみ。
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