最高の演奏とステージを世界へ。
いつもの環境を届け、文化交流を支援。
- 楽器
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NHK交響楽団の感動を、そのままベトナムへ届ける
これまでに、楽器、絵画、美術品、遺跡に至るまで、航空輸送を通じて世界各国の"文化"を届けてきたANA Cargo。一般的な貨物に比べて、破損、セキュリティ、湿度・振動、特殊寸法など様々なリスクが伴うなか、安全かつ迅速な輸送を徹底してきた。
ANAホールディングスは音楽による国際交流の促進を図ることを目的として、2017年11月に公益財団法人NHK交響楽団の海外公演支援に関する連携協定を締結。
NHK交響楽団といえば、1926年の結成から数多くのクラシックファンを虜にしてきた日本最高峰のオーケストラだ。54回の定期公演を含め、年間およそ120回ものコンサートを開催。日本国内はもちろん、海外でも、その活動と演奏は高い評価を得ている。
2018年の9月には、『日越外交関係樹立 45 周年記念 NHK交響楽団 ベトナム公演』(ホーチミンのサイゴン・オペラハウスとハノイのハノイ・オペラハウス)を開催。ANAホールディングスは、協賛パートナーとして日本からベトナムへの楽器輸送をはじめ様々なサポートを実施した。
最高のステージは、いつもの環境づくりから生まれる
日本屈指の演奏者が集まるNHK交響楽団は、約100名の楽員によって構成されている。メンバーが最高の状態で演奏できるよう、ステージの配置から楽器の運搬まで一挙に担っているのがステージマネージャーの徳永匡哉さんだ。もともと楽器運びのアルバイトからキャリアをスタートさせ、約20年にわたり一番近くで演奏を支えてきた。現職では3年目を迎える。
徳永「公演ごとに、会場、プログラム、出演者などが決まってきた段階で、ステージ構成の図面作成、足りない楽器の調達、楽器輸送の手配などをします。毎回、最高のパフォーマンスを披露してもらえるように、どの会場でも、どの広さのステージでも、いかに普段と同じ環境を作るかが重要になってくるのです。
そのため、楽員ひとりひとりの譜面台や椅子の位置はもちろん、演奏時の癖なども全て頭の中に入っています。NHK交響楽団というのは、才能とセンスがありながら、非常にストイックに音楽と向き合っている人たちの集まりなんです。だからといって、一人の意見だけを尊重してしまうとオーケストラとしてのバランスが崩れてしまう。なので、普段から一人一人とコミュニケーションを取りながら、オーケストラが一体となるよう心掛けています」。
9月に開催されたベトナム公演においても、もちろん徳永さんの管理下で楽器運搬が行われた。高温多湿のベトナムは、繊細な楽器にとってはやっかいな土地だ。
徳永「そもそも楽器を運ぶには、特別な配慮が必要です。例えば、ケースに入っている状態でも、弦楽器は弦が張ってある側面を下にしてはダメですし、太鼓系(ティンパニ等)も横倒しにしてはいけない。その楽器の種類やケースの向きによっては、別のケースを上に重ねることができなかったりもします。それほど繊細ですし、扱い方が難しいのです。
気がかりだったのは、やはり温度と湿度でした。特に木管楽器や弦楽器など、木を使っている楽器は湿度と温度の変化で、すぐヒビが入ったり壊れたりしてしまいます。空港から会場までも、必ず空調仕様のトラックを使って運搬してくださいとお願いしました」
楽器が届かなければ公演はできない。前例のない楽器輸送の難しさ。
素晴らしい演奏者がいても、完璧な状態で楽器が届かなければ公演は成立しない。安全・丁寧・スピーディ、輸送スタッフにとっては当たり前のことだが、今回はそれに加え、自然や楽器独自の扱い方への配慮が求められる状況となった。この難題を任されたのが、ANA Cargo東日本販売部の水野翔太さんと海外サポート部の舩木賢人さんだ。
水野「今回のプロジェクトは、これまでも楽器の輸送はしているものの、これまで以上の高い難易度に加えて慎重さが求められたので、いままでの経験や知識はもちろん、新しいアイデアも含む全ての要素を結集しなければいけませんでした。通常であれば貨物を効率よく積みつけていけばよいのですが、今回は楽器を置く向きや重ね方の指定が非常に細かかったため、緻密な計算が必要でした。しかも、楽器を梱包しているケースにはキャスターが付いているので安全面においても頭を悩ませました。積み付けプランの策定だけで10回以上修正し、関係者間のメールのやり取りは100回以上にのぼったと思います」。
舩木「事前にベトナムに視察に行きましたが、やはり現地は湿気が多いしスコールもある。今回特別な梱包方法で水対策を施しました。空輸時はもちろん、荷下ろしから移動までの待機場所も屋根付きで風通しがよい場所を確保し、湿気対策として約20度に設定した冷蔵庫に入れるなど、なるべく外気にさらされない状況をつくりました。また、空港内の道路も調べ、楽器に振動を与えないルートを選んだり、運転手の方にも段差など貨物搬送に気をつけてもらうようお願いしました」
現地スタッフとの連携が成功を生み出す
異例づくしの輸送となったこのプロジェクトは、ANA Cargoのこれまでの総合力が活かされる形で進められていった。さらには、このためだけの施策を模索しながら、最良・最適な方法を導き出していくという、新しい挑戦を試みる機会にもなった。
徳永「正直、最初は現地に実際に行ったことがある人から、現地での楽器の扱われ方に気をつけたほうがいいよ、とネガティブな話も聞いていたんです......。でも実際のハンドリングスキルは、非常にクオリティが高く、聞いていた話とぜんぜん違うじゃん! と。丁寧すぎるぐらい丁寧に、私どもの楽器を扱ってくれて本当に感謝しています」。
舩木「今回あらためて感じたのは、現地スタッフとの連携がとても重要だということ。そのことを最大化するためにも、調査の段階で注意事項をチェックリストにまとめ、全ての項目がイエスになるように調整してもらいました。また、成田空港を出発する前に、楽器を積みつけた状態の写真を300枚ほど撮って、それを共有しておくこととで日本とベトナムとの状況の差異をなくしました。現地でも付き添ってオペレーションしましたが、スタッフ全員の仕事が非常に丁寧で驚きました。我々には世界各地へのネットワーク網がありますが、現地スタッフとの連携力はANA Cargoの強みだということをあらためて実感しました」
最高の演奏を届けるため、真のパートナーシップへ
NHK交響楽団によるベトナム公演は、歴史的な演奏のひとつとして世界各地から賞賛の声が挙がった。それを実現できたのは、最高のオーケストラと観客が集ったことはもちろん、NHK交響楽団が日頃から大切にしている、ステージ上の環境を現地でもそのまま実現できたからに他ならない。
水野「NHK交響楽団のベトナム公演での航空輸送を経験させていただいたおかげで、実は今、音楽関係の方々からたくさんの反響をいただいているんです。今後も航空ネットワークの拡充が進んでいく予定ですので、世界各国・各都市それぞれの文化を繋げていけたら嬉しいですね」
徳永「より多くの人たちにNHK交響楽団の素晴らしさを知ってもらうため、今後も輸送業者との連携は欠かせないと思っています。個人的には、ベルリン・フィルハーモニーとルフトハンザ航空の関係性が理想的。世界で一番有名なオーケストラなので海外公演の回数も段違いなのですが、楽員も楽器も衣装ケースも全ての輸送をルフトハンザ航空が担っているんです。そこまでの環境は贅沢すぎるかもしれませんが、最高の演奏を届けるという意味で、ANAと一緒に本当のパートナーシップを築けていけたら素敵だなと思っています」
航空ネットワークで繋げる、未来の文化交流
現在、ANAグループではべトナムへ羽田-ハノイ(1日1往復)、成田-ホーチミン(1日2往復)を運航しており、両国間の友好関係のさらなる発展のため、国際交流の促進に貢献している。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、今まで以上にグローバルな文化・民間交流が加速されるはずだ。そのような状況のなかで、ANA Cargoはコンサートに伴う楽器輸送だけにとどまらず、絵画や美術品、舞台装置など、航空での輸送サービスを通じた文化交流の支援と挑戦を続けていく。
徳永 匡哉(トクナガマサヤ)
公益財団法人 NHK交響楽団 演奏制作部 ステージマネージャー
1999年よりNHK交響楽団に於いてステージスタッフ、アシスタント・ステージマネージャーを経て現職に至る。団員有志によるN響サッカー部部長。3歳の双子の父。
水野 翔太(ミズノショウタ)
日本統括室 東日本販売部 販売課
2009年(株)ANA Cargo入社。関西空港の輸出課にて輸出ハンドリング業務を1年半務めた後、名古屋にて営業部門を経験。2017年からは現在の東京(東日本販売部販売課)へ異動し引き続き営業部門に携わる。趣味は旅行で実は電車旅が大好き。
舩木 賢人(フナキケント)
海外サポート部 海外サポート課(ICSD)
2015年(株)ANA Cargo入社。羽田空港にて国際貨物の輸出入ハンドリング業務を3年間務めた後、2018年に現在の海外サポート課に異動。趣味は深夜ラジオと自動車レース観戦。
ANA CARGOのソリューションについての情報は以下をご覧ください。
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