大型貨物機「ボーイング777型フレイター機」で支える、
航空物流ビジネスの未来
大型貨物機「ボーイング777型フレイター機」で支える、
航空物流ビジネスの未来
念願の大型貨物専用機「ボーイング777型フレイター機」が2019年に始動
ANA Cargoはこれまで、顧客の声に沿った要望に応えつつ、時代の変化に伴い求められる、様々な航空貨物を世界へ届けてきた。
近年では、自動車や航空機のエンジンに加え、半導体製造機や医療機器といった大型精密貨物の輸送が増加傾向にある。
今後も需要や成長が見込めるニーズに応えていくため、2019年の7月からボーイング社の大型貨物専用機「ボーイング777型フレイター機」(通称:BLUE JAY/ブルー・ジェイ)を、日本の航空会社として初導入した。
それに伴い、新たなサービスの導入や、中国を始めとするアジア圏や北米の市場における提供価値も強化。ANA Cargoの各国スタッフとボーイング777型フレイター機の挑戦が、7月の就航を起点にスタートする。
「大型貨物専用機」だから実現できる、新たなサービスが誕生
ボーイング777型フレイター機の導入にあわせて、新しいサービスの提供も開始された。そのひとつが、衝撃リスクに配慮する、半導体製造機器や医療機器などの精密機器を対象とした「PRIO SENSITIVE」だ。
サービス開発に携わったマーケティング企画課の古園洋子さんは、ANA Cargoのソリューションとボーイング777型フレイター機の強みを活かして、顧客や市場に対するバリューを導き出したという。
「デジタルプロダクトの普及で、半導体の供給に欠かせない半導体製造装置を運んでほしいという要望が増え続けています。ただし、これまでメインで稼働していた中型のボーイング767型フレイター機では、運びたくても運べないというジレンマもありました。しかし、ボーイング777型フレイター機はドアも大きく、約3メートルの高さまで貨物が搭載できるので、ようやく不可能だったことが可能になるという大きな期待を寄せています。
一方、半導体製造装置は、温度と衝撃と湿度に非常に弱いという課題もありました。そのため、実際の荷主様や製造装置を作っている工場へ伺い、どうやって作られているか、なぜセンシティブなのか、ということを教えていただきながら半導体製造装置の輸送を構築してきました。そして、その中で得た知識を「PRIO SENSITIVE」の内容に反映させました。
サービスの最大の特徴は、輸送が難しい貨物でも丁寧・迅速に対応すること。そのためには、世界的にも評価が高い日本のハンドリング技術を活用することが絶対的に必要でした。それを実現するため、実際の貨物を扱うオペレーションの担当者と議論を重ね、統一のマニュアルやチェックシートを作成。どこで誰が何を扱っても、高いクオリティを担保できるようにしました。
ボーイング777型フレイター機は、大きな貨物を届けてほしいというお客様の想いと、それを絶対に運びたいという私たちの想いを繋ぐための役割を果たしてくれると考えています。私たちは今後、サービスや運用を通じて全員の想いを実現していく責任があると思っています」
ANAグループのノウハウと新たな価値で、確かなハンドリングを実現
開発された「PRIO SENSITIVE」を効果的に機能させるには、各空港や現場スタッフとの連携が鍵となる。
オペレーション企画課の及川裕司さんは、これまでのノウハウと新しい施策を「PRIO SENSITIVE」に投入し、成功に向けて大きな挑戦を試みる。
「これまで、規格外のサイズや取り扱い方法に特別な指定がある貨物に関しては、それぞれ個別に確認ポイントや輸送方法を設定していました。しかし、「PRIO SENSITIVE」で預かる貨物は、特別扱いということが大前提。ですから、これまでの経験を踏まえながら、軸となる要素を新しいマニュアルに反映させました。
例えば、フォークリフトの速度を10キロ以下に落として走行する、ドーリー搬送を注意する、といったベースの項目を明確にしました。しかも、その内容を事前に「見える化」させて、お客様が依頼された瞬間から安心感を持っていただけるように配慮しました。
ボーイング777型フレイター機でのハンドリングは、いくら過去の経験が活かされるとはいえ、今までやったことないことの連続になるはず。まさに0からの出発ですので、そこから1にして、2にして、10になるようにノウハウを積み上げていきたい。決して簡単なことではないですが、新しいチャレンジをすることで、結果的にお客様の要望に応えられたられるようになればいいなと思っています」
中国やアジア圏から世界へ。ジャパン・クオリティでどこでも安全・安心を
ANA Cargoの優位性のひとつが、各国を網羅する豊富なネットワークだ。
ボーイング777型フレイター機が最初に就航したのは、「成田-関空-上海-成田路線」。上海支店空港所貨物担当の範磊(Fan Lei)さんは、これから更なる需要が期待される中国やアジア圏の市場を、現場から担っていく。
「今までの中国は、アパレル関連、携帯電話関連、生鮮貨物関連の需要が高い傾向にありました。しかし、越境ECの拡大によりフォワーディング扱いのB2B、B2B2Cに加えて、エクスプレス扱いのB2Cが増加傾向にあります。
そのような状況もあり、新たに導入されたボーイング777型フレイター機のターゲット商材は多岐に渡ります。これまで輸送できなかった重量貨物や長尺貨物、緊急大口貨物の引き合いも多くなっているので「既存貨物+ボーイング777型フレイター機にのみ搭載可能な貨物」ならではのベストミックスに努めたいと思います。
私たちの強みは高い品質ですが、その基盤となる「壊さない」「無くさない」「遅れない」の原則は、日本の各空港で独自の工夫やノウハウを蓄積して築かれてきました。ANA Cargoはそれらを「匠の技」と位置づけ、優れた技術を可視化して全世界のANAグループへ水平展開することで、ANAブランドの要素の一つである「ジャパン・クオリティ」は、構築されています。
中国においては、ECの拡大やメーカー生産拠点の移転など、日々変化する環境の中で、航空貨物も商材や動き方が変化を続けていくと予想しています。もちろん、貨物量の増加を見込んで、既存のレイアウトを変更して積み付けスペースを増加させるなど、新たな対策も準備しています。
ANA Cargoは、ボーイング777型フレイター機という力強い味方を手に入れましたので、これからもサービスの幅を広げながらあらゆる貨物に対応して、お客様の満足度を向上させていきたいです」
ボーイング777型フレイター機就航時ダイヤ
大幅に増える北米発の航空貨物。顧客と市場の期待に応えるボーイング777型フレイター機
7月に就航したボーイング777型フレイター機だが、10月からは「成田-シカゴ線」に投入される予定だ。ボーイング777型フレイター機は燃費性能も良いことから、長距離路線で直行運航できるというメリットが発揮される。
アメリカの中西部は、主に自動車産業や重機、医療機器の市場として知られている地域。シカゴ拠点の営業担当であるアイダ・カスペリアン・グワーギスさんは、北米市場においてボーイング777型フレイター機が必要不可欠な存在になると語る。
「アメリカの自動車業界は毎年変化しており、中西部や東部地域ではアメリカ系メーカーだけでなく、日系メーカーに関しても完成車及び部品製造の拠点となっています。試作車やテスト車の輸出も多く、自動車の車両・部品・付属品、航空機のエンジンや翼部品・大型医療機器といった特大貨物がボーイング777型フレイター機のメイン商材になると考えています。
ANA Cargoは、信頼性、柔軟性、アジア内ネットワークなどの強みを活かして、アメリカ中西部市場でも競争優位性を発揮してきました。今後は大幅に増加する輸送力を生かし、アメリカ南部からのエネルギー関連などの大型貨物輸送も可能になります。また、ユナイテッド航空とのジョイントベンチャーによって充実したネットワークを提供することができ、北米市場での成長を更に後押ししてくれるはずです。
また、ボーイング777型フレイター機が導入されることで、様々な分野へ広がりが生まれることにも期待しています。自動車関連だけに限らず、AIの革新などでモバイル機器の浸透が見込まれるハイテク関連、ファクトリーオートメーションとロボット関連機械の需要増加が期待される重機関連、医薬品の輸送/温度管理、MRIなどの大型医療機器、人工関節、皮膚代替品などに注目が集まる医療関連。そして、貨物機のみで扱う危険物の輸送に焦点を当てた新たなサービスなどにも高い需要があると考えています。
もちろん、昨今の複雑なサプライチェーンにおいて、お客様の多くの要求に応え、より多くの貨物を、より早く、より確実に目的地へ届けなければいけません。私たちはそのような想いに応えるため、ボーイング777型フレイター機導入により様々なお客様の大型貨物・特殊貨物・大量貨物などの高速輸送を実現し、お客様や市場にコミットメントしていく必要があります。そして、ボーイング型フレイター機を活用して私たちの新たな価値を提供していきたいと思っています」
運べるようになることが、豊かな未来へとつながる
2019年、大型貨物専用機「ボーイング777型フレイター機」が、遂に跳び立つことになった。そのことを出発点に、半導体製造装置や医療機器などの大型精密機器の輸送サービスに本格参入し、リーディングエアライングループとして更なる高みをを目指していく。今まで運べなかったものが運べるようになる。一見シンプルな第一歩かもしれないが、人々の暮らしや価値観が多様になり、次々と技術革新が起こる中、「BLUE JAY」の活躍は、豊かな未来につながっていくはずだ。
古園洋子(フルゾノ ヨウコ)
2005年より(株)ANA Cargo入社。
成田空港で輸入ハンドリング業務を約8年勤めた後、海外サポート課を経て2018年より現在のマーケティング企画課に配属となる。
趣味は国内・海外旅行。
及川裕司(オヨカワ ユウジ)
2007年より成田空港にて貨物郵便輸出業務、貨物機搭降載業務、貨物郵便ハンドリング調整業務等に携わり、2018年4月よりオペレーション企画課へ配属。
趣味は野球とゴルフ。
範磊(ファン レイ)
2005年よりANA上海支店空港所にて勤務
貨物輸入輸出全般、767F/777Fロードプランナー本部インストラクター&貨物郵便本部インストラクターに携わる。
趣味はギター。
アイダ・カスペリアン・グワーギス
President of AIR Cargo Sales, LLC (ACS)
29年間航空貨物業界に従事し、2010年からシカゴを拠点にアメリカ中西部でのANA貨物販売責任者、4児の母で夫と共にACS社起業。現在はAir Cargo Sales 社の社長。
ANA の国際貨物についての情報は以下をご覧ください。
国際貨物の詳細をご確認いただけます。
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