フレーター就航で九州発ゲートウェイへの飛躍をめざす、北九州空港
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2018年5月10日
2018年6月5日、ANAは北九州空港発の定期便を週5本開設する。多くの製造業が拠点を構え、迅速に国外、特にアジアへの輸出ニーズを有する北九州にとっては注目の取り組みとなる。
今回の取り組みはANAグループはもちろん、北九州空港、そして北九州市の協力なくしてなしえなかった。本記事では、今回の取り組みをサポートしていただいた、北九州市港湾空港局 空港企画部 空港企画課係長 大谷法之氏に話を伺い、北九州における航空輸送への期待を語っていただいた。
開港12年、九州発ゲートウェイを目指す北九州空港
大谷氏:北九州市は、九州と本州を隔てる関門海峡に面しています。関門海峡は、1日に500隻を超える非常に多くの国内外の船舶が行き交う場所で、古くから海上輸送の要衝として知られてきました。
この海峡には大型船舶が通行することから、海峡の水深を一定に保つ必要があり、定期的に航路の浚渫を行っています。北九州空港は、その浚渫土砂の処分場としてできた島を利用して建てられたものでした。
九州には、半導体・電子部品・自動車・医療医薬など多くの輸出産業が集積する特長があり、航空物流には大きなポテンシャルがあると以前から考えていました。その中で、北九州空港は、海上空港の特長がある。この地の利を活かし、旅客便だけでなくフレーター誘致や集貨活動により航空貨物の拠点とし、九州発のゲートウェイづくりを目指し取り組みを行ってきました。
フレーター就航で九州の物流にイノベーションを
大谷氏:これまで、九州の企業が海外へ航空輸送する場合には、福岡空港を利用するケースが多く見られました。ただ、フレーターの運航がないことや旅客機材の小型化などにより九州発の貨物の約半数は九州域外の関西空港や成田空港、羽田空港を利用せざるをえません。
わざわざ関門海峡を越えて、関西や首都圏の離れた空港まで陸送されたり、旅客便で空輸されたり、貨物の発生地から到着先までトータルのリードタイムの面で、国内輸送部分は時間や輸送費を多くかけていました。
特に荷姿の大きい貨物や大量の貨物の空輸は、九州内のどの空港にも定期貨物便が運航されておらず、国内拠点空港に一旦は輸送せざるをえない。これまで輸送の選択肢がなかったがために顕在化した課題として認識されていませんでしたが、北九州空港をゲートウェイとし新たに多頻度のフレーター路線ができることで認識されていくものと思います。
今回の北九州空港へのフレーター運航は、九州の物流が飛躍的な変化を遂げることが期待されます。まずは国内輸送が大幅に削減され、輸送時間の短縮とコスト削減につながります。また、運転手不足や労務管理等の問題から昨今、トラック手配が非常に難しくなっていると聞いています。この点も、これまで長距離を運転せざるを得なかったところが、近距離輸送に変わり、またラウンド輸送もできるようになり効率的な運用にもつながる可能性があると考えています。
ANAとの共同事業
大谷氏:この度のフレーター新規就航については、ANAと地元行政との「共同事業」としての位置づけと考えています。北九州市としてもこのような取り組みは初めてですので、どのようにお互いの強みを活かし、相乗効果を上げていくのか。大きなイノベーションが起こりそうな期待でワクワクしています。
北九州市としては、福岡県や苅田町との協力のもとフレーターの運航や集貨の支援を実施。荷主や物流会社への集貨促進、生鮮貨物に特化した生産者等への輸送支援などを通し北九州空港の利用促進を進めています。側面支援では、関係官公庁との調整なども行ない、フレーター運航にかかわる対応をワンストップで実現しようとしています。
北九州市・ANA双方が同じ目標に向かい、多くの企業にこのフレーターを利用していただき、航空物流におけるメリットを見出してもらいたいと思っています。
大谷法之(おおたに のりゆき)
北九州市港湾空港局空港企画部空港企画課
航空貨物担当係長
1998年、北九州市入庁。2015年4月から空港企画課に配属となり、航空貨物担当として、北九州空港の貨物拠点化に向けた路線誘致や集貨活動の業務に携わる。現在、フレイター利用を荷主企業や物流会社に訴えかけるために九州一円を奔走中。趣味は、北九州市内の名所を結び、沿道の熱い声援と充実の補給食が魅力の「北九州マラソン」でのフルマラソン。
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